お久しぶりです。HP改装&書き直しをするにあたり、序章を加えてみました。20110226

quartz

*序章*




 夜明け前の空。大きな流れ星がひとすじ輝き、鬱蒼(うっそう)とした森の中へ音もなく落ちました。

 光は瞬く間に消え、あたりには再び夜の静寂が訪れます。

 流れ星の落ちた場所には、大きな岩がありました。その岩の上に、白い何かが横たわっています。あなたと同じ、この世界に初めてやってきた白猫です。

 小さなうめき声をあげた白猫は、暗闇の中から黒いローブを手繰り寄せるとすぐに身に纏(まと)いました。

 深くローブをかぶった白猫は、一時、静かに夜空を見つめていましたが、しばらくするとその場に座り込みました。誰かを待っているのか、それから一歩たりとも動く様子はありません。


 朝が来て、昼が過ぎ、再び夜の帳が森を覆いました。


 一日が経ち、二日が経ち……。

 もう誰も来ないかと思った、3日目の朝のことです。


 無邪気な小鳥たちのさえずりが、白猫の頭上を通りすぎていきました。白猫はこの世界へ降り立った日から一歩も動かず、うずくまるようにして座っていました。

「もしもし、大丈夫ですか?」

 遠くの方で、誰かの声が聞こえたような気がします。

「もしもし、生きていますか?」

 同じ声がまた聞こえます。今度は少し、恐る恐るといった様子です。

 声の主はちょうどここを通りかかった男の子猫でした。茶色い毛並に、焦茶色のふさふさした前髪が、いつの間にか吹きだした優しい風に揺れています。

「ぼくの名前はルーク。旅猫(クォーツ)だよ」

 白猫は閉じていた目を少し開くと、深くかぶったローブの奥から旅猫の姿を見ました。

 鬱蒼とした森に降り注ぐ、まるで朝の光のようなまっすぐで優しい琥珀色の瞳が、こちらをじっと見つめていました。






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